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家洗工の仕事内容

家洗工

「家洗い業」「洗い屋」とも言い、大まかに言うと建築物の汚れを取る専門職です。

時代による変遷

もともと日本の建築物はすべて木造だったこともあり、“洗い屋”の仕事も木造建築が対象でした。工事中のチリやホコリによる木部の汚れ、湿気による木材のアク、セメント材などの付着によるヤケ、大工の手アカなどを取り除いたり、建築物についているバリなどの微細な箇所の修正を施すのが仕事です。住民が普段、掃除しにくいところにたまった汚れを取る天井洗い工事なども請け負います。

古くは、神事、祭事などの時に「お清め」「厄払い」の意味で行われていたのが、家洗いの始まりとも言われています。江戸時代には、新築の家や古い家の汚れを取ってきれいにする、実用的な家洗いを行う「洗い屋」という職業が存在したようです。ここでは、灰汁(あく)洗いという技法が使われていました。木やワラ、アシを燃やしてできた灰を水に溶かし、その上澄み液を使って洗い、お酢を希釈した液で仕上げ洗いをする方法です。

その後、明治中期ごろからは天然素材の灰汁ではなく、簡単に必要な量をすぐに作れる、苛性ソーダなどを希釈した工業薬品が使われるようになりました。さらに戦後、木部洗い専門の「洗い屋」は 、タイルやサッシガラス、床など建設汚れ全般を洗う「洗い美装工事業」へと変わっていきました。

現在、一般の人には「家洗い業」と「ハウスクリーニング」「美装工」の区別がつきにくくなっていますが、厳密には違います。「家洗い業」として建設汚れ全般を洗う業者もありますが、「家洗い業」は厳密には木部の汚れを落とす仕事で、灰汁洗を用います。「ハウスクリーニング」はキッチン、バストイレ、エアコンなどの掃除を行う掃除代行業です。「美装工」は竣工美装工事を行う業者のことで、ビル・商業施設・病院・家などを新築する際に、完成した建物をオーナーに引き渡すための建物クリーニング工事を行います。建築作業の過程で発生した汚れを完全に取り除き、床面にワックスを掛けるなどの施工です。

灰汁洗いの工程

昔ながらの家洗い業の灰汁洗いは、大まかに以下の工程で行われます。

灰汁洗い

汚れを落とす作業です。苛性ソーダなどを希釈した液を硬めの刷毛で擦りながら塗布します。ここで昔ながらの業者は刷毛ではなく、「ささら」という、竹や細い木などを束ねて作製した用具を使います。
そのまましばらく放置すると、汚れが浮き出てくるので、水だけをつけた刷毛でその汚れを洗い流します。汚れをしっかり落とすため、必要に応じて研磨剤なども使いながら、この工程を2~3回繰り返します。また、木部に薬品が残らないよう、最後に水でしっかり洗うことも忘れません。

シミ抜き

紫外線によるシミと、シミの素を取り除く作業です。フッ化水素が主成分のシミ抜き専用の薬品を刷毛で塗布します。汚れを浮かせて洗い流すのではなく、化学反応によってシミ、シミの素を消します。そのため、柔らかい刷毛で染み込ませるように薬品を塗っていきます。

漂白

カビや、紫外線による日焼けを取り除くため、薬品を使って漂白を行います。

修正洗い・薬品拭き取り

木部に残っている余分な薬品を濡れた雑巾でしっかり拭き取り、研磨剤を使用しながら余分な黒ずみを取り除きます。最後に、木材保護塗料を塗装し、木の美しさをできるだけ長期間保てるようにします。