造園工の仕事内容
造園工
剪定、伐採、植栽、芝刈、草刈り、除草など緑に携わる作業から、造園空間の設計、施工といった工事までを含む専門職です。
緑化から土木まで
造園工の仕事は大まかに言うと、緑化に関わる植栽、剪定と、土木に関わる造園工事に大別されます。植栽、剪定のそれぞれを専門とする人、植栽と剪定の両方を専門とする人、それに造園を専門とする人がいます。
植栽とは、植木を植える作業のことです。施工場所にもよりますが、多くが手掘りです。それも適当に植えれば良いのではなく、植える場所や本数を記した図面があり、その図面通りに真っすぐ植えなければいけません。
これに加えて、土を入れる泥入れという作業を行うこともあります。これも人力で行うことが多く、植栽は力仕事だと言えます。
ハサミやノコギリなどを使って長すぎる枝を切ったり、はみ出ている葉を切る作業が剪定です。単に見た目を美しくするだけではなく、養分を効率よく利用させて生長を促進したり、病害虫の繁殖を予防するなど、樹木を守る目的があります。いわゆる植木屋としてイメージする造園工の仕事がこれです。
そして、庭を造る仕事としての造園工事があります。手掛けるのは個人の家から料亭、ホテル、学校、公園など幅広く、建築設計士と打ち合わせをしながら仕事を進めます。整地、舗装や、花壇、噴水、遊歩道などの設置といった建設工事を行います。あえて厳密に言うと、植栽とこれらの建設工事を造園工事と言い、剪定は造園工事に含まれません。
剪定の種類
厳密に言うと剪定は造園工事に含まれませんが、広い意味では、造園工の仕事に剪定も含まれます。この剪定にはいろいろなやり方があります。
刈り込み
刈り込みバサミという専門のハサミなどで植木を刈り込んでいく方法です。例えば、ツツジの生垣などの形を整えるために枝葉を切りそろえる作業がこれに当たります。選別して枝を切る作業ではないので、厳密には剪定と区別されることもありますが、いわゆる「街の植木屋さん」が主に行っている作業でもあります。
透かし
込み入った不要な枝を、根元から透かすように整理する作業です。不要な枝を見極め、どんな樹形に仕立てるかを観察し、切るべき枝を根元から切り取っていきます。むやみに切ってしまうと格好が悪くなり、切りすぎると植木が枯れてしまう恐れもあります。それだけに作業に時間が掛かり、経験を積んだ技術が必要です。
切り戻し
伸びすぎた枝や茎を切り取って、栄養分が無駄に使われるのを防ぎ、幹を丈夫に生長させる作業です。植物の形を整え、生長を促進し、風通しを良くして病害虫を予防します。
造園工事の種類
造園工事には法律上、主に以下のような種類があります。
植栽工事
土を動かす土工事、土壌改良などの植栽基盤の整備、緑地育成工事などを行います。
地被工事
地面を草や芝で被ったり舗装する工事です。
景石工事
庭園などに石を配置する工事です。風景に趣きを添えます。
地ごしらえ工事
木の伐出後に残った幹や枝、刈り払われた低木、雑草などを片づけたり、整理する作業です。植栽作業をしやすくするために行います。
公園設備工事
花壇、噴水などの修景施設、休憩所などの休養施設、遊戯施設などの建設工事です。
広場工事
芝生広場、運動広場、展望広場などの広場を築造する工事です。
園路工事
公園内の遊歩道、緑道などを建設する工事です。
水景工事
噴水、ミスト、人工滝、自然池、モニュメント噴水、ビオトープなどの水景施設の設計・施工を行います。
緑化工事
公共空間の緑化、道路などの人工的斜面の緑化、崩壊山地の復旧緑化、壁面緑化や屋上緑化などの工事です。
造園に関わる資格
造園に関わる資格は種類も豊富です。その主なものを紹介します。
造園技能士
住宅庭園の造園や庭木の手入れから、公園、街路樹、公共施設、オフィスや工場の緑化まで、幅広く造園に関する技能を認定する国家資格です。1級、2級、3級があります。
造園施工管理技士
公園や緑地、遊園地などの造園工事の施工計画を作成し、現場の工程管理、資材などの品質管理、作業の安全管理などの業務を行う主任技術者、監理技術者となるための国家資格です。1級、2級があります。
街路樹剪定士
日本造園建設業協会による資格で、樹木の生理・生態や街路樹に関する専門知識と、伝統的な職人芸とも言える技能を併せ持ったスペシャリストに付与されます。
水景士
日本水景協会による資格で、水景のデザイン・計画・設計・施工・維持管理に関する知識と技能・技術を備えたプロフェッショナルに付与されます。
樹木医
各地の貴重な巨木や珍しい木、そして街路樹などの身近な樹木を保護する専門技術者に付与される民間資格です。