鋼製建具工の仕事内容
鋼製建具工
金属製のドア、アルミサッシ、ガラス戸、網戸などの鋼製建具の製作・取り付けを行う専門家です。
建物の第一印象を左右
「鋼製」は厳密には鋼鉄製のことですが、鋼製建具とは木製建具に対する概念であり、つまりこの「鋼」は鉄、ステンレス、アルミ、銅など、金属製全般のことを指します。また、建具とは戸、障子、ふすまなど、建物と外部、また建物の内部を仕切るために設けた、開閉できるもののことです。すなわち、主に金属製のサッシ、ドア、シャッターなどを設計、製作し、施工する職人のことを鋼製建具工と言います。
建築物を見る時、一番最初に目に入るのが窓、扉とも言われています。つまり建具は、建物の第一印象を左右する重要な要素だとも言えます。
鋼製建具にはスチール製、アルミニウム製、ステンレス製などがあり、意匠性・性能・作動方式など、建築物の用途や要求性能によってどれを使うか選びます。取り付けにもミリ単位の精度が要求されます。もちろん、建具は建築物の1部の要素ですから、製作図の段階から他職種との連携が必要です。鋼製建具工はそうした緻密さ、コミュニケーション能力が必要な仕事だと言えます。
それぞれ高度な技能が必要
鋼製建具工は、具体的には金属製建具取付け工事だけではなく、サッシ取付け工事、金属製カーテンウォール取付け工事、シャッター取付け工事、自動ドア取付け工事なども行います。
サッシとは窓枠建材のことで、日本ではアルミサッシが多く使われています。ただ、アルミは断熱性能が低いので、今は樹脂製サッシも使われるようになっています。
開閉をスムーズに行うことが難しくなったら、このサッシに不具合が起きている可能性があります。最悪、サッシを取り替えることになりますが、サッシの交換には壁カット工法、カバー工法があります。
壁カット工法は、室内の窓枠はそのまま生かしてサッシをすべて交換する工法です。カバー工法は既存のサッシ枠に新しいサッシ枠をかぶせる工法。外壁や窓枠の工事が不要なので短期間ででき、費用も抑えられます。ただ、開口部が既存のサッシより小さくなります。
カーテンウォールとは、建築構造上取り外し可能な、建物の荷重を直接負担しない壁のことです。いわば“カーテンのような”壁というわけです。建築物へ重さを負担しないものとして開発されたので、カーテンウォールそのものも軽量で、そのため高層ビルなど高い場所でも積み重ねて使うことができます。カーテンウォール取付け工事には、マリオン(方立)と呼ばれる部材を上下の床か梁の間に掛け渡し、ガラスやスパンドレルパネルをはめ込んでいくマリオン方式、パネルを並べて壁面を作るパネル工法などがあります。
シャッターには手動タイプ、電動タイプ、軽量タイプ、耐風性・堅牢性に優れた重量タイプなど、さまざまあります。ガレージ用、店舗用、戸建住宅用、倉庫用など、用途もさまざまです。需要は幅広く、シャッター取り付けの専門業者もあります。
自動ドアを設置するには、起動センサーや保護センサー、制御装置などの電気系統も取り付けなければいけません。自動ドアは機械と電子機器などで構成する高度なシステム製品であり、その取扱いにも高度な技能が求められます。
鋼製建具工が持つべき資格
鋼製建具工の技能全般に関わる資格はありませんが、それぞれの工事技能に関する資格があります。
サッシ施工技能士
サッシの施工技術を認定する国家資格です。1級、2級があり、サッシ施工法・建具一般・建築構造・建築設計図書・関係法規・安全衛生の知識を問われます。実技では実際にサッシの溶接固定や付属材の取り付けを行います。
カーテンウォール施工技能士
建設物のカーテンウォール施工作業に必要な技能を認定する国家資格です。1級、2級があり、カーテンウォール一般・施工法・材料・建築構造・製図・関係法規・安全衛生の知識を問われます。合格するには、金属性カーテンウォールの部品、組み立て、取り付けに関する知識や技術を学ぶ必要があります。
自動ドア施工技能士
自動ドアの施工に必要な技能を認定する国家資格です。1級、2級があり、自動ドア一般、施工法、材料、保守点検、建築構造、機械要素、関連基礎知識、製図、関係法規、安全衛生の知識を問われます。実技では実際に自動ドアの施工を行います。