看板・テント工の仕事内容
看板・テント工
看板工は各種看板の製作、設置を行う専門職で、テント工は工場用テントや店舗用テントなど、主に大型テントの製作、設置を行う専門職です。看板の企画・製作・設置とテントの企画・製作・設置の両方を行う業者もあります。
さまざまな看板施工
看板と言えば、昔は木の板に筆で文字を書いて作っていました。使っていたのは墨です。その後、ペンキを使うようになり、絵やロゴマークなども手描きで入れるようになりました。そのころは看板作りも職人仕事でした。それが現在はパソコンやカッティングマシン、 大型インクジェットプリンタなどが登場し、職人ではなくても文字や絵を使った看板が作れるようになりました。
看板にはいろいろな種類があります。それぞれ形状、サイズ、材質が違い、それに合わせた製作方法、取り付け方法があります。また、看板の設置は、国土交通省が定めた規則を守って行わなければいけません。
現在、一般的な作り方になっているのが、パソコンのデザインソフトによるデザインを印刷し、板に貼るという方法です。主にカッティングシートという、裏がシールになっている塩化ビニール製の薄いシートに印刷されます。このカッティングシートを、現地に置かれた看板用の板に貼るか、工場でこれを貼って作った看板を、現地に運んで取り付けます。
看板を設置する場所に土台を作ることもあります。この場合、地面や屋根の上など、看板を設置する場所で掘削、仮枠の設置、鉄筋やアンカーボルトの配置、コンクリート打設、埋め戻しなどの作業を行います。
看板そのものも、切断・曲げ・接合・塗装などの加工が必要なものもあります。アクリル板などにレーザー彫刻で文字やマークなどを記して作ることもあります。ネオン管を加工したり、電飾の器具などを取り付けて配線する看板もあります。
また、例えば店舗看板も新規出店時の設置工事だけではなく、退去時の撤去工事、修理工事、季節ごとの仕事も行っています。正月に、商業施設に掲げられる懸垂幕の工事や、クリスマスのイルミネーション設置工事なども、看板業者が行うことが多いそうです。
看板の種類
看板にもいろいろな種類がありますが、その主なものを紹介します。
らんま看板
店の上部の壁に取り付ける看板のことです。パラペットサイン、ファサード看板とも言い、単純に板を取り付けたもの、専用のフレームにアクリル板などを表示面として取り付けるタイプなどがあります。 フレームに表示面を取り付けるタイプでは、フレーム内部に照明を仕込んで板面全体を光るようにするもの、外部からスポットライトなどで板面を照らす方式のものなどがあります。
ポール看板
ポール状の支柱に店舗名や広告物、標識などを設置した看板です。内部に電球を設置したタイプ、外側から表示面を照らすタイプ、2本の脚で足場を組み、上部にメインの看板を設置し、脚部分にも別の広告の看板を設置する複合型などがあります。看板の表示面が大きければ大きいほど、看板を支えるためのポールは太く頑丈なものが必要となり、ポールを自立させるための大掛かりな基礎工事が必要になります。幹線道路に面した店舗などによく使われています。
横断幕・懸垂幕
布などに文字を書いて壁面などに固定し、広告などに使うもので、横長に使うものを横断幕、縦長に使うものを懸垂幕と言います。今はパソコンでデザインし、ターボリン生地という塩化ビニール製の生地にプリントし、縫製するのが主流になっています。設置はロープでくくりつける方法が多いです。
テント看板
入口や窓の上部に傘状に設置したテント生地に、店名やロゴを入れたものです。日よけ、雨よけの機能もあります。これもターポリン生地が主流になっています。
案内板
道路案内の標識、施設内部の店舗やトイレなどの位置を示す看板、ビル内部のテナントを示すフロアガイド、フロアマップ、それに観光案内などが案内板です。これも看板業者が設置します。
野立て看板
道路沿いや交差点、宅地などに立て、主に店舗の位置情報、企業の商品情報などを広告する看板です。多くが、店舗や企業から離れた場所に設置されます。
スタンド看板
自立式でなおかつ移動可能な小型の看板のことで、主に店舗の入り口前などに置かれています。シンプルに店名などだけを表示したもののほか、レストランや美容室のメニューを表示したものなどもあります。折りたたみ式で横から見た形がアルファベットのAの形に見えるA型スタンド看板や、ライトを内蔵した内照式などがあります。
屋上看板
建物の最上部に設置する看板で、エレベーター室や機械室、給水設備などの壁面に表示面を設置するタイプ、専用の柱を鉄骨などで組み立てて掲示するタイプがあります。屋上に建てられた機械室などの建物を塔屋と言いますが、この場合、最大4面を広告に利用できます。もちろん、看板用の鉄骨を立方体に組み、その4面に看板を設置することもできます。また、屋上看板にも内部にライトを設置するタイプ、外から照らすタイプがあります。クレーンや足場を使うなど、大掛かりな施工になることが多いです。
袖看板
建築物の壁面や支柱などから、突き出る形で建物の側面に垂直に設置する看板で、突き出し看板とも言います。四角や丸型など、さまざまな形やサイズがあり、表示面にはアクリル板やプラスチック、FFシートなど、フレーム部分にはステンレスやアルミが使われます。
ウインドウサイン
窓やガラス、ドアなどにカッティングシートなどで文字、ロゴといった情報を掲示したものです。営業時間や休業日などの情報の掲示にも使われています。また、広告効果だけではなく、目隠し、日よけにもなります。
意外と知られていないテント
テントと言えば、キャンプで使う、簡単に設営できる移動式住居をイメージしますが、ここで言うテントは店舗用テント、オーニングテント、テント屋根、テント倉庫などのことです。
もともとテント生地は軍用やトラックシートなどに使われていましたが、戦後、商業用として使われ始めました。例えば、軒先に設置され、ハンドルで出し入れできる日よけ、雨よけの店舗テントがあります。その後、店舗向けの商業用テントから産業・工業向けのテント製品へと需要が拡大していきました。テント倉庫などです。さらに現在は、テント生地メーカーがさまざまなファブリック素材やデザイン性の高いキャンバスを開発し、テント看板、デザインテント、軒先テント、雨よけテント、通路テント、オーニングテントなどが設置されるようになりました。
テント施工の業者には、運動会などで本部として設置されるイベントテントの製造・販売から、トラックの荷台にかけるトラックシートの製造・販売、東京ドームのような大型膜構造建築の施工まで、幅広く手掛けるところもあります。
テントの素材は用途などによってさまざまな生地から選びます。これを図面通りに裁断し、溶着加工、縫製加工で加工品へと仕上げます。また、鉄骨などで骨組みを製作。これを現地で組み立てて取り付けます。
テントの種類
テントにもいろいろな種類があります。その主なものを紹介します。
テント倉庫
屋外に設置する、テント生地を使用した倉庫です。シートハウスとも呼ばれ、材料置き場、資材置き場、保管スペースとして利用されます。基本的にはコンクリート基礎に柱を固定し、梁・棟となるフレームを設置して、防炎テントや不燃テントを使ったキャンバスをかぶせ、ロープで固定します。短期間での設置が可能で、天井部分に換気扇や採光用の透明シートを取り付けることもできます。奥行方向に対して伸び縮みする可動式倉庫もあります。
テント生地の耐久年数は約10年と言われ、フレームがまだ傷んでいなければ、生地の張り替えで、引き続きの利用ができます。
建築物なので、設置には建築確認申請が必要です。
オーニングテント
オーニングは「日よけ」「雨覆い」という意味で、オーニングテントとは日よけ用のテントということになります。特に日本では、巻き取りパイプにキャンバスを取り付け、日差しが直接入らないようにキャンバスを出し入れできるものを指します。日差しがきついようであればキャンバスを出し、帽子のひさしや日傘のように日差しをさえぎります。
テント屋根
テント生地を日よけ、雨よけ用の屋根として使ったもので、荷捌きの場所として使用するための上屋テント、駐車場に取り付けるもの、運動会などで使う仮設本部用のイベントテントなどがあります。
イベントテントは利用者が自分で組み立て、解体することもできますが、上屋テントは建築物として建築確認申請が必要で、業者が施工します。上屋テントには、側面に外壁があるものや、可動式のカーテンを設置して雨風を防ぐようにできるものもあります。また、上屋テントはスポーツ練習場の屋根として利用されることもあります。
店舗用テント
店舗の入り口の上部などにあるひさしのことで、キャノピーとも言います。広い意味ではオーニングテントも含まれます。日よけ、雨よけのためだけではなく、店舗をアピールするためのものでもあるので、凝ったデザインのものも作られています。
看板・テント工に関わる資格
電飾看板の施工やネオンの施工には、それぞれ電気工事士、ネオン工事資格が必要です。また、看板工として仕事をするのに役立つ資格として、国土交通大臣の認定資格である屋外広告士、国家資格の広告美術仕上げ技能士があります。
屋外広告士の学科試験では、屋外広告に関する法規の理解と知識も問われます。広告美術仕上げ技能士の実技試験は広告面ペイント仕上げ作業、広告面粘着シート仕上げ作業、広告面プラスチック仕上げ作業に分かれ、広告を作成する表現力とそれにともなう技能、専門知識などが問われます。
テント工に関わる資格には、帆布製の製品の製作技能を認定する国家資格の帆布製品製造技能士があります。帆布とは、綿や麻の平織りでできた厚手の布で、靴やバッグなどにも利用され、「キャンバス」とも呼ばれています。実技試験では、円すい曲面形装飾用テントの製作を行います。