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畳工の仕事内容

畳工

畳を作って部屋にはめ込むだけではなく、表替え、裏返しなど畳のメンテナンスも行う職人。あらゆる種類の畳を加工できる技術を持つ専門家です。

日本固有の文化の職人

畳を作って敷くのが畳工で、畳職人、畳屋さんとも呼ばれます。

畳は日本固有の文化で、平安時代には現代の畳に近いものができていたと言います。ただ、最初は人が座ったりするところだけに敷いていたようです。部屋全体に敷き詰めるようになったのは室町時代以降。どのみち、畳はとても長い歴史を持つ文化だと言えます。

畳には調湿・断熱効果があり、湿気が多く、夏は暑くて冬は寒い日本の気候に適した床材です。日本住宅も洋室が増えて和室が減ったとは言え、防音効果や空気清浄効果もあり、適度な弾力性、触り心地からも、まだまだ多くの人から愛されています。また近年、フローリングでは寒い、音が響く、落ち着かないなどの声もあり、畳が見直されています。

畳をパーツに分けると

畳は、ワラ製の畳床(たたみどこ)にイグサで織った畳表(たたみおもて)を乗せ、縁(へり)を付けて作ります。

畳床はワラ床とも言い、乾燥させた稲ワラを強く圧縮して縫い止め、厚さ約5cmの板状に加工したものです。適度な弾力性、高い保温性、室内の調湿作用、空気浄化作用など高い機能を持つのが、この畳床です。ただ、近年は材料の入手が困難なことなどから、木材のチップを圧縮成形したインシュレーションボードや発泡スチロールを単板で使った、あるいは積層させた新素材畳床も登場しています。それらは安価で軽く、階下への防音性能に優れ、建材畳床、化学床と呼ばれています。

畳表は、イグサの茎を乾燥させ、麻糸などと織ったゴザです。現在でも天然素材が一般的ですが、合成繊維を織った畳表や、合成樹脂の表面に畳の目を型押ししたものもあります。

畳縁は、畳表を畳床に乗せた時、畳表を畳床に固定させ、また畳床に合わせて切り落とした畳表の切断面を隠すために縫い付ける布です。昔は、模様や色が身分などを表していました。素材は絹、麻、綿、化学繊維があり、柄あり、柄なしなど、種類は豊富です。

畳の作り方

畳は畳表、畳床、畳縁という3つのパーツを組み合わせて作ります。

まずは、敷く部屋のサイズに合わせて畳表、畳床を裁断します。日本の部屋は畳何畳分というように、畳を何枚敷くかで表します。そのため、畳1畳のサイズも厳密に規格があると思いがちですが、地域などによって異なるそうです。中京地方などでは6尺×3尺(182cm×91cm)ですが、関東地方などでは5尺8寸×2尺9寸(176cm×88cm)なのだとか。実際には、敷く部屋で寸法を測り、それに合わせて作ります。部屋に合わせるための裁断です。ちなみに、同じ部屋の畳でも、1枚1枚の大きさは違うそうです。

それから畳表を畳床に乗せて貼り付け、長手方向に畳表を巻き付けて裏側で畳床に縫い付け、いわゆるカマチをつくります。さらに畳表と畳床の幅を切って調整し、畳縁を縫い付けたらでき上がりです。

かつてはすべての工程が手作業でしたが、今はほとんどが機械によって行われています。

できあがった畳を、いざ部屋に敷き詰めた時、隙間ができたり畳の目が曲がってしまっては畳工の仕事として不完全です。機械による畳作りでも手作業でも、畳工に求められているのは、部屋の寸法にきっちり収まる畳を作ることです。そんな畳工になるには経験による熟練が必要で、10年はかかると言います。

畳の種類

主な畳の種類を紹介します。

縁付き畳

最も一般的な畳です。縁があるので耐久性に優れているのが特長です。

縁なし畳

名前の通り縁のない畳で、縁付き畳に比べると耐久性が低く、価格も割高ですが、モダンな雰囲気が好まれています。「琉球畳」「琉球風畳」がこのタイプです。

床の間用畳

龍髭畳表(りゅうびんたたみおもて)という独特な畳表を使った畳です。最初から日に焼けた色をしているのが特徴です。花を生けた瓶や壺などを床の間に置いた時、日焼け跡が出てしまわないようにする工夫だということです。

有職畳(ゆうそくたたみ)

朝廷や武家の儀式、作法、生活様式に基づいて作られた畳です。現在は神社や寺院などで伝統的な調度具として使用されています。

畳工事の種類

畳工は畳店、畳屋、畳工店などの業者に勤めて仕事をします。その仕事は3種類に大別されます。

新畳

新築した家、または増築した部屋に新しく畳を敷く仕事です。既存の住宅、部屋などの畳を総入れ替えするのもこの工事です。部屋のサイズを測り、それに合わせて畳を加工し、部屋に敷き詰めます。

表替え

既存の畳の畳床はそのままで、畳表と畳縁だけを新しいものに取り替えます。畳の表面が擦り切れたり、黒ずみ汚れが全体的に出てきた時に行います。

裏返し

表面が日焼けし、痛みなどが目立ってきた時に行う工事で、畳表を裏返して畳床に貼り直し、畳縁を新しく取り替えます。畳表にシミ、焼け焦げ、穴空きがあったり、長期間裏返しをしていない場合は表替えを行います。

手作業による技能が大切

畳工として働くのに資格は必要ありませんが、技能を認定する国家資格の畳製作技能士があります。機械による畳作りが一般化しているとは言え、手作業を身に着けた上で機械の作業を行わないと畳工として1人前にはなれないとも言われ、畳製作技能士の実技試験では手縫いによる畳の製作および敷き込みを行います。